天井に描かれた圧巻の雲龍を見に行こう

京都には、龍の天井画が見られるお寺があります。龍といえば、日本の自然信仰(神道)の中で、水を司る神さまとして崇められてきた歴史もあり、滝や池、川や海に近い神社でよく見られますが、お寺にも、かつての絵師たちが襖や天井に描いてきた龍も大切に守られています。

ちなみに、お寺に龍が描かれているのは、仏教において龍が守り神であるからだといわれています。(仏教誕生の地、インドでは蛇(ナーガ)の神は仏教の守護神。日本には中国で蛇から龍の姿に変化したあと伝わったため、蛇でなく龍が守り神として捉えられていると考えられています。)つまり、お寺の本堂や法堂に龍を描くことでお寺を守ってもらうという意味合いがあるのです。

この記事では、観光地としてアクセスしやすく迫力ある龍の天井画が見られるお寺をピックアップしています。お寺によっては期間限定でしか見られないものもありますが、生で見る天井画の迫力を体感ください。

建仁寺(京都市東山区小松)

建仁寺は京都の中でも有名な観光地、祇園(ぎおん)の近くにあり、京都最古の禅寺としても知られています。龍の天井画は本堂にあり、本堂に入るためには本坊の方から受付をしたあと、方丈の施設内を通って向かいます。

本堂に入ると天井に描かれた大迫力の双竜を見ることができます。この天井画は2002年に創建800年を記念して日本画家の小泉淳作氏が筆をとりました。建仁寺の歴史は古いですが、龍の歴史はまだ浅いので、天井画があることもあまり知られていなかったりします。

昔描かれた天井画は歴史的価値もあり、それはそれで素晴らしいのですが、描かれてまだ歴史が浅いぶん、絵画の濃淡の差がしっかり感じられ、こちらに迫ってくるかのような龍の瞳をきれいに見ることができるのは新しい絵の魅力です。

建仁寺には天井の龍のほかにも、風神雷神図屏風の精巧なレプリカを展示していたり、重要文化財に指定されている大雄苑など、見所はたくさんありますので、ぜひ合わせて観光してくださいね。

所在地:〒605-0811 京都市東山区小松町584
TEL:075-561-6363
拝観時間:3月1日~10月31日 10:00~16:30(17:00閉門)、11月1日~2月28日 10:00~16:00(16:30閉門)
年末拝観休止:12月28日~12月31日
拝観料金:大人500円/中高生300円
WEB:https://www.kenninji.jp/

妙心寺(京都市右京区花園)

妙心寺は右京区にある臨済宗妙心寺派の大本山です。近くには金閣寺や龍安寺などの観光地がたくさんあるので金閣寺などの観光のついでにと寄る人が多数います。妙心寺は敷地内にたくさんのお堂や仏殿などがあり、それぞれ独立した建物になっています。

天井に龍が描かれているのは重要文化財に指定されている法堂内にあります。円の中心に丸く描かれている龍の作者は狩野探幽で、8年かけて描いた大作といわれています。

妙心寺の龍は通称「八方睨みの龍」と呼ばれています。その理由は円の中心にある龍の目が、どの方向から見ても見ているこちらを睨んでいるように錯覚するように描かれているからです。妙心寺に行った際は是非様々な見方をしてみてください。どの角度からも中心の龍の瞳に捉えられる不思議な感覚を味わうことができますよ。

所在地:〒616-8035 京都市右京区花園妙心寺町64
TEL:075-463-3121
法堂・天井の雲龍図、国宝の梵鐘、浴室(明智風呂)の案内時間:9:10~11:50 (20分間隔にて案内)、12:30(1回のみ)、13:00~15:40(20分間隔にて案内)
※妙心寺境内の道は開放されています。
拝観料金:大人500円/中学生300円/小学生100円
WEB:https://www.myoshinji.or.jp/

天龍寺(京都市右京区嵯峨)

天龍寺は紅葉が有名な右京区の嵯峨嵐山にあるお寺です。妙心寺と同じように円の中に龍が描かれています。作者は加山又造画伯という日本画家で、1997年に天龍寺開山夢窓国師650年遠諱記念事業として法堂の天井に描かれました。

躍動的な龍は八方睨みができるよう描かれているので、じっと見つめながら移動すると円の中心の龍の瞳がこちらを追いかけてくるように見えます。監視されているような不思議な感覚は八方睨みの龍の特徴です。非日常のような特別感を味わえるので京都観光の思い出にいかがでしょうか。

天龍寺の法堂は毎年2月に公開されているのに加え、春や秋に特別公開がされています。公開期間外は見ることができないので、公開時期に合わせて旅行の予定をたててみるのも良いですね。公開時期の予定は天龍寺の公式HPで確認することができます。

所在地:〒616-8385 京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68
TEL:075-881-1235
拝観時間:8:30~17:30(10月21日~3月20日は17:00閉門)
拝観料金:高校生以上500円/小中学生300円 ※龍の公開のときには別途500円かかります。
天龍寺公式サイト:http://www.tenryuji.com/index.html

南禅寺(京都市左京区南禅寺)

南禅寺は左京区にある臨済宗南禅寺派大本山の寺院です。南禅寺の龍は中心となる法堂に描かれていますが、法堂内に入ることはできません。しかし外側から見ることができるので、是非一度は見て頂きたい龍です。南禅寺の法堂は戦で2回焼失しており、現在の法堂は1909年に再建されたものです。天井に描かれている龍は再建されたときに日本画家の今尾景年が筆をとりました。他の場所と比べると掠れ具合や色合いに味があり歴史を感じることのできる画です。他の龍と違い緑や赤が目立つ配色になっているところも注目ポイントです。

所在地:〒606-8435 京都市左京区南禅寺福地町86
TEL:075-771-0365
拝観時間:3月1日~11月30日 8:00~17:00、12月1日~2月28日 8:40~16:30(12月28~31日は拝観できません)
拝観料金:法堂は無料、方丈庭園・三門・南禅院は有料
南禅寺公式サイト:http://www.nanzen.net/index.html

東福寺

仏殿(本堂)の天井画の龍図は堂本印象画伯の作品。東西約22m、南北約11mの天井に描かれた体長54m胴回り6.2mに及ぶ迫力ある龍。これをわずか17日で完成したといいます。普段仏殿の中には入れませんが、龍図は外側から見ることができます。

所在地:〒605-0981 京都市東山区本町15丁目778
TEL:075-561-0087
拝観時間:4月~10月末まで/9:00~16:00 ※16:30に閉門 11月~12月第一日曜/8:30~16:00 ※16:30に閉門 12月第一日曜~3月末/9:00~15:30 ※16:00に閉門
拝観料:通天橋・開山堂 大人600円、小中学生300円/東福寺本坊庭園 大人500円、小中学生300円/共通拝観券 大人1,000円、小中学生500円
東福寺公式サイト:http://www.tofukuji.jp/index.html

大徳寺(京都市北区紫野)

北区の紫野にある大徳寺に描かれている龍も一見の価値があります。法堂のドーム型の天井に描かれている龍は狩野探幽が35歳の頃に描いたものです。ドーム型の天井がより龍の立体感を演出するので、迫力ある龍がこちらを見つめているような感覚になります。

大徳寺の龍は通称「鳴き龍」と呼ばれています。敷瓦の上で手を叩くと龍が鳴いているような音が法堂内に反響する仕組みになっていることから鳴き龍という通称がついたといわれています。手を叩いた音と描かれたドーム状の部分が共鳴することで音が反響するようになっています。

法堂内の龍は公開されているときが限定されているので、公式HPや京都の観光案内で確認してから行くようにしてくださいね。

所在地:〒603-8231 京都市北区紫野大徳寺町53
TEL:075-491-0019
拝観時間:公開時期による
拝観料金:大人1,000円/中高生700円
大徳寺公式サイト:http://www.rinnou.net/cont_03/07daitoku/

写真:PIXTA

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