日本の滝100選とは、1990年に選定された日本独自の美しい景観を持つ100の滝のことです。

国土のうち、4分の3を山地に占められている日本。平地部が少なく、山間部が多い日本の河川は長さも短く川幅も狭くなっています。それゆえ、日本の河川は急流が多く、数多くの滝があります。日本全国に存在する滝の中でも特に素晴らしい滝として選ばれた「日本の滝100選」。今回は、「日本の滝100選」のうち、山梨県、新潟県、富山県の名滝をご紹介します。

日本の森林保護活動のため、緑の文明学会、グリーンルネッサンス、緑の地球防衛基金の3団体が、「日本の滝100選」の募集を行いました。3団体が行った募集は大いに反響があり、なんと全国から34万1292通、527滝の応募がありました。527滝の応募に対して、専門の選考委員が選考を行い、1990年4月に、「日本を代表する美しい滝」として日本の滝100選が決定しました。

もちろん、日本の滝100選の選考から外れた滝でも素晴らしい景色を見せてくれる滝は数多くあります。しかし、多くの応募から最終選考まで選び抜かれた日本の滝100選は、どの滝も美しく、訪れる者を魅了してやみません。都会の喧騒に疲れたら、滝を見ながら、マイナスイオンを浴び、風光明美な景色を思う存分堪能してみませんか。

八ツ淵の滝(滋賀県高島市)

滋賀県高島市鹿ヶ瀬に位置する八ツ淵の滝(やつぶちのたき)とは、魚止めの淵・障子ヶ淵・唐戸の淵・大摺鉢・小摺鉢・屏風ケ淵・貴船ケ淵・七遍返し淵の総称です。8つの滝のうち、主瀑となる貴船ケ淵は、かつてこの地で雨乞いが行われたという言い伝えが残っています。

金引の滝(京都府宮津市)

京都府宮津市に位置する金引の滝(かなびきのたき)は、落差40メートル、幅20メートルの滝です。京都府内で唯一「日本の滝100選」に選定されている金引の滝は、水瀑からむき出しの岩肌が透けて見え、優美で繊細な美しさを持っています。

箕面大滝(大阪府箕面市)

大阪府箕面市に位置する明治の森箕面国定公園の中にある箕面滝(みのおたき)は、落差33メートル、幅5メートルの滝です。明治の森 箕面国定公園は、関西有数の紅葉の名所として知られており、晩秋には大阪府内外から多くの観光客がこの地を訪れます。

原不動滝(兵庫県宍粟市)

兵庫県宍粟市波賀町原に位置する原不動滝は、落差88メートルの滝です。水量が多く、滝口から一気に水瀑が流れ落ちる様は迫力があり、その素晴らしい景観は、1969年に発行された国定公園シリーズ切手の絵柄にもなりました。

猿尾滝(兵庫県香美町)

兵庫県美方郡香美町に位置する猿尾滝(さるおだき)は、落差60メートルの滝です。滝は上段(落差39メートル)、下段(落差21メートル)に分かれている段瀑です。上段の滝は切りたった岩肌を流れ落ちる猛々しい迫力がある一方で、下段の滝は断崖の間を縫う一筋の光のようで洗練された優美な雰囲気が漂っています。その素晴らしい眺望は古くから人々に愛され、江戸時代の絵師、山名義徳が描いた「猿尾滝観瀑図」と同じ景色を臨むことができます。

天滝(兵庫県養父市)

兵庫県養父市大屋町筏に位置する天滝(てんだき)は、落差98メートルを誇る大滝です。その名の通り、滝口から98メートル下の滝壷をめがけて水瀑が流れ落ちる様は豪快で、まるで天から滝が降り注いできたかのような錯覚を起こします。周囲は豊かな原生林が生い茂り、抜けるような青空、白い水瀑、雄々しい岩壁、樹々の緑が融和し、絵葉書のような景色が広がっています。

布引の滝(兵庫県神戸市中央区)

雄滝

兵庫県神戸市中央区に位置する布引の滝(ぬのびきのたき)は、名水百選にも選定されている布引渓流にある4つの滝の総称です。上流から雄滝(おんたき)、夫婦滝(めおとだき)、鼓滝(つつみだき)、雌滝(めんたき)と続き、最も上流に位置する雄滝は、落差43メートルで、430平方メートルという広い滝壷が雄滝の迫力を引き立てています。

夫婦滝
鼓滝
雌滝

双門の滝(奈良県吉野郡天川村)

奈良県吉野郡天川村に位置する双門の滝は、二段に分かれている段瀑となっており二の滝(上段・落差約20メートル)と一の滝(下段・落差約30メートル)から成る滝です。双門の滝へのアクセスは容易ではありませんが、岩盤の裂け目を一気に水が流れ落ちる景色は、険しい登山道を登った疲れを忘れさせてくれるほどの素晴らしさです。

不動七重の滝(奈良県吉野郡下北山村)

奈良県吉野郡下北山村に位置する不動七重の滝は、落差100メートルの滝です。霧立ち込める森の中に、不動七重の滝が姿を見せる様は、幽玄閑寂とした趣で、眼前には、絵画のように素晴らしい景色が広がっています。

笹の滝(奈良県吉野郡十津川村)

奈良県吉野郡十津川村に位置する笹の滝は、落差32メートルの滝です。オレンジ色味を帯びた岩肌、滝を取り囲む緑の樹々が、豊かな水量を誇る笹の滝の魅力を引き立てています。

中の滝(奈良県吉野郡上北山村)

奈良県吉野郡上北山村に位置する中の滝(なかのたき)は、落差250メートルの滝です。残念ながら、滝壺や滝口へ近づくことはできません。

那智の滝(和歌山県東牟婁郡那智勝浦町)

和歌山県東牟婁郡那智勝浦町に位置する那智の滝(なちのたき)は、落差133メートル、幅13メートルの滝です。圧倒的な存在感を放っている那智の滝は、日本三名瀑(華厳滝〔栃木県〕、袋田の滝〔茨城県〕、那智の滝〔和歌山県〕)の一つに数えられています。

桑ノ木の滝(和歌山県新宮市)

和歌山県新宮市に位置する桑ノ木の滝(くわのきのたき)は、落差21メートル、幅8メートルの滝です。深みのある色合いの岩壁と白い水瀑のコントラストの美しさは格別で、桑ノ木の滝には、訪れる者を魅了してやまない不思議な魅力があります。

八草の滝(和歌山県西牟婁郡白浜町)

和歌山県西牟婁郡白浜町に位置する八草の滝(はそのたき)は、落差22メートルの滝です。水量はそれほど多くないものの、滝の周囲は豊かな自然が広がる大塔日置川県立自然公園となっており、ハイキングを楽しみながら滝を眺めることができます。

写真:PIXTA

share
◎このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。