初心者にも登りやすい立山

今回ご紹介する立山(たてやま)は、富士山、白山(はくさん)と並ぶ日本三霊山のひとつです。この山の景勝地は、弥陀ヶ原(みだがはら)や称名滝(しょうみょうだき)、室堂(むろどう)、地獄谷(じごくたに)など仏教にちなんだ名が多いのですが、それはここが信仰の山だから。かつて修験者たちが歩いた道、拝んだ風景が随所にあります。

立山は標高3,000メートルながら、乗り物などが充実しているため、初心者でも登りやすいと人気の観光地となっています。とくに、北アルプスを貫き、富山と長野を結ぶ山岳観光ルート「立山黒部アルペンルート」は世界有数の山岳観光ルートで、富山県側の立山町「立山駅」から長野県側の大町市「扇沢駅」まで乗り物を乗り継ぎ、いくつもの景勝地を見ながら、総延長37.2km、最大高低差は1,975mの立山・黒部の雄大な大自然を満喫することができます。

立山黒部アルペンルート https://www.alpen-route.com/about/

初夏から秋にかけていつも登山客で賑わう立山ですが、とりわけ、秋は一面に紅葉が絨毯のように広がり、山の紅葉のすばらしさが見られると人気を博しています。ただ、多くのサイトがその素晴らしさを語っているので、龍神伝説アーカイブスでは、少し趣向を変えて「水と龍にまつわるスポット」を中心にご紹介していきたいと思います。

称名滝(しょうみょうだき)

称名滝は、立山山麓にある弥陀ヶ原高原(みだがはらこうげん)から流れ落ちる日本百名瀑の滝で、70m、58m、96m、126mと上から4段に分かれ、トータルの落差は350mと日本一を誇っています。紅葉シーズンになると、周囲に群生するブナやナナカマド、ヤマブドウなどの木々が色づき、滝のダイナミックな姿と合わさり、まさに絶景となります。10月中旬から色付き始め、10月下旬から11月中旬にかけて見ごろを迎えます。

どの季節に見ても見ごたえのある滝ですが、雪解け水が流れ込む春など水量が増す時季には、称名滝の右側にハンノキ滝と呼ばれる滝が出現します。(さらにもう一本増えることもあるようです。)

ちなみに称名滝の名は、辺りに響く滝の轟音が「南無阿弥陀仏」と称名念仏を唱えているように聞こえたことに由来します。称名滝を訪ねるときは、ぜひ耳を澄ませて、そのように聞こえるか試してみてくださいね。

百閒滑(ひゃっけんなめ)

立山山麓にある牛首(うしくび)谷の上流には、落差40mの龍神(たつがみ)の滝と呼ばれる滝があり、この滝の下流には200mにわたって岩肌と水の流れのコントラストが美しい「百閒滑」と呼ばれるスポットがあります。大自然に囲まれたこの地は、昔から、夏の夕立の後、龍がこの急流で遊ぶといわれています。

このスポットへは、立山駅からあわすのスキー場に向かい、遊歩道を通っていくことができます。また、立山駅と本宮(ほんぐう)駅の間にある大山農山村交流センターからのトレッキングコース「瀬戸蔵山~瀬戸蔵山~龍神の滝周遊コース(中級者向け)」でもアクセスできます。

立山山麓スキー場/トレッキングコースのご案内 http://www.tateyama36.co.jp/green/treking.html

龍神の滝(たつがみのたき)

百閒滑よりさらに1.5kmほど歩くと、龍神(たつがみ)の滝と呼ばれる滝があります。第四紀の立山の噴火による称名滝火砕流堆積物(約10万年前)を侵食してできた落差約40mの滝で、龍が天に昇っているように見えることから名付けられといわれています。雪解け水の多い春には滝が見られますが、渇水期には水がないこともあります。

龍神の滝に向かう道のりの途中に展望台があるのですが、50メートルほど登ると「龍神の御神木」「松尾さんの大杉」があります。立山山麓一帯は、寒さや雪に強いタテヤマスギの巨木が生育する貴重な自然地域ですが、とりわけ、このふたつの大木は迫力があり、自然の霊気を感じさせてくれます。

眼目山 立山寺(がんもくさん りゅうせんじ)

立山寺、通称「さっかの寺」は、立山連峰から流れる水流である上市川(かみいちかわ)扇状地にある禅宗曹洞派の名刹。上市川の断崖にあり、富山平野から遠くは能登半島まで望むことができ、また、山門前の参道には県指定天然記念物の「とが(栂)並木」は長い歴史を感じさせます。

立山寺は、風水的に見ると、飛騨山脈から立山連峰、立山最高峰の大汝山(おおなんじやま)から奥大日岳(おくだいひだけ)、城山にかけて龍脈 があることから、城山は気が集中する「束気(そっき)」、そして、気や気を留めた水が吐き出される上市川扇状地の平地部は「吐唇(としん)」と呼ばれるパワースポットになります。(気になる方はGoogle Map等で大汝山や奥大日岳、城山、立山を調べてみてくださいね。)

※龍脈とは、地中を流れる気のルートのこと。大地の気は山の尾根伝いに流れると考えられており、その流れが龍のように見えることから「龍脈」と呼ばれています。 風水では、この「龍脈」の気が噴き出すポイントである「龍穴」に住むと、一族は永きに渡って繁栄できると考えられています。

パワースポットであること関係するのかしないのか、立山寺は戦国時代には越後国の上杉勢の兵火や火災にたびたび遭い衰退しながらも、そのたびに信徒や地元の力で復興されていますし、今も人々の信仰を集めています。また、近年は、森林浴の癒しを健康作り・ライフスタイルの見直しに役立てる「森林セラピー」基地としても認定され、注目集めています。

所在地:〒930-0422 富山県中新川郡上市町眼目15
TEL:076-472-0699
営業時間:6:00~18:00(閉門は時期により異なる)
休業日:年中無休
拝観料:無料
駐車場:20台(無料)
WEB:https://www.town.kamiichi.toyama.jp/hp/spot/index05.html

大岩山日石寺 六本瀧(おおいわさんにっせきじ ろっぽんだき)

大岩山日石寺は、立山連峰の裾野にあり、「大岩のお不動さん」と呼び親しまれる寺院です。創建は神亀2年(725年)、行基が開いたのが始まりと伝えられ、古くから立山の山岳信仰の一端として隆盛し、最盛期には21社60坊を抱える大寺として名を馳せました。境内には国指定史跡大岩日石寺石仏、重要文化財大岩日石寺磨崖仏をはじめ、三重の塔、山門、六本滝(ろっぽんだき)、十二支滝など数々の寺院や名所があります。

六本瀧は、上写真のように6つの龍頭から水が流れ落ちる人口滝で、禊(みそぎ/心身を清めて不動尊を参拝)のために造られたもの。万物の構成要素とされる六大(ろくだい/地、水、火、風、空、識)を型どった6つの蛇口から流れ落ちる滝に打たれる人々の六根(眼根、耳根、鼻根、舌根、身根、意根)を清浄にし、一切の衆生の六欲、根本煩悩を洗い落とします。滝に打たれることを灌頂(かんじょう)を受けるといい、仏様と御縁を結べるとも伝えられています。

毎年7月1日には、健康と修行の安全、地域の商売繁盛を願って滝開きが行なわれ、大寒の日には寒修行 (かんしゅぎょう)が行われます。予約すれば、誰でも白衣を借りて、滝行を受けることができます。

所在地:〒930-0463 富山県中新川郡上市町大岩163
TEL:076-472-2301
営業時間:事務所は16:00まで
休業日:年中無休
料金:無料
駐車場:100台(無料)
WEB:http://ooiwasan.com/home.html

穴の谷の霊水(あなんたんのれいすい)

北アルプスの剱岳に抱かれた山間に湧く水です。江戸時代、美濃国の白心(はくしん)法師がこの地で修業して以来、霊場として知られるようになりました。寝たきりの女性がこの水を飲み歩けるようになったという話から、万病に効くと信じられています。4年間腐らないといわれるほど不純物の少ない水は本来、修行僧が飲んでいた霊水です。

参道から108段の石段を下った谷間に薬師如来堂があり、そこに祭られた薬師如来像右横から湧き出る清水は飲みやすいように蛇口まで引かれています。環境省の名水百選にも選定されており、全国からたくさんの人々が訪れています。

所在地:〒930-0416 富山県中新川郡上市町黒川
TEL:076-472-4711 (穴の谷霊場弘真会)
営業時間:7:00~17:00(閉門は時期により異なる)
休業日:年中無休
料金:【水管理費】10リットルにつき50円、容器:20リットル1,100円、10リットル700円、1.8リットル200円
駐車場:100台(普通車200円、バス1,000円)
WEB:https://www.town.kamiichi.toyama.jp/hp/spot/index04.html

写真:PIXTA

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